娘が小さいころ、人形をよく買ってやった。リカちゃん全盛の時代。着せ替え服、その他の付属品まであるからけっこう高価になる。
女の子といえば人形、この観念はいったいどこからやってくるのだろう。
ところが小学の中学年に差し掛かるあたりから、急に人形嫌いになり、すべてをゴミにして捨てようとした。逆にこちらが可愛そうになって、こっそり保存、いまでも大小合わせて30ぐらいは書斎に飾ってある。
娘は祖母から贈られたお雛様も嫌うようになった。生きているようで怖いのだという。
こういう受け止め方、特殊かと思ったらそうでもないとがわかってきた。「女の子=人形好き」の方程式はウソで、人形嫌いがけっこういた。
たしかに薄暗い部屋に入り、無言、白い肌、しかも見開かれたままの両目に出会えば、大人だってたじろぐ。
まちがいなく人形という〈物〉だというのに、魂だけは冴えかえっている!
(2013年9月10日)