【往還集127】35 文学部

『短歌』2013年9月号に王藤内雅子「「文学部」」が掲載されている。大学の文学部の先生のようだ。

「英文科・国文科潰し「言語学科 英語コース・日本語コース」

にはじまり、

「「文学部」には目玉商品おまへんねん定員割れにて改組解体」
「資格至上主義蔓延のこの国か「文学部」には戦力外通告か」

とつづく。

「郷愁(ノスタルジー)と嗤(わら)ふ勿(な)かれ文学は全ての学問の土壌であります」と、援護の気持ちも表明される。  
私の見聞きする大学の文学部も、ほとんどかくのごとし。ときどき「文学部」とか「日本文学科」の看板を目にすると、エッと驚くしまつだ。
かくも衰退してしまったのは、資格の取れない学部では就職できないからだ。「無用こそ有用」などと悟っているゆとりは、すっかりなくなった。
ところが文学館関係の講座も、短歌・俳句の集まりも依然として盛会だ。この落差はどうしたことか。大いに不思議がっていいのではなかろうか。 
(2013年9月1日)