【往還集127】31 「生命の大河」・続

どのような詩か、第4連を引用してみる。

科学は後退をゆるさない。
科学は危険に突入する。
科学は危険をのりこえる。
放射能の故にうしろをむかない。
放射能の克服と
放射能の着用とに
科学は万全をかける。
原子力の解放は
やがて人類の一切を変え
想像しがたい生活図の世紀がくる。

北川透氏はこの詩と吉本の従来の主張に変わりないことに「いまさらながら啞然とする」。
吉本のみならず原発を支持する人たちは、光太郎詩とほとんど同じ発想をしている。つまり、人類の到達した科学水準を廃棄することはできない、欠陥があればやがて科学自体が解決するーー。
私はこういう論理のあること自体は否定しない。
ただ、自信をもって主張するなら、「フクシマの犠牲も科学の進歩のためにはやむをえない、運が悪かったと思って諦めてくれ」と、フクシマに来て、フクシマの人々のまえで堂々と語ってみてほしい。
(2013年8月20日)