【往還集127】29 猛暑と白鳥

猛暑のさ中、内沼の住んでいる白鳥と雁。

盆の混雑のおさまったとろで、義父母の墓参へ。
宮城県北の旧築館町(つきだてちょう)。
遅ればせの焼香ののち、内沼へ向かう。
伊豆沼と隣り合っているこの沼はハスの名所で、広い湖面にいっぱい咲く。
そのなかを舟で行くと、まるで天国に紛れ込んだ心地になる。
 ところが猛暑つづきで、花は終わっていた。今日も高速道路の標示は37度。せっかく来たのだからと、車から降りて水際に立つ。
と、数羽の白鳥と雁が寄ってきた。羽は薄汚れ、翼の付け根に傷を負っている。仲間たちが3月に北へ帰ったというのに、飛ぶ力がないために残ったのだ。
このような残留組を見かけるようになって久しいが、猛暑のなかの日々はことのほかの辛さだろう。普段はキツネやネコの襲撃から逃れるために岸から離れて過ごす。人間の方は危険でないと思うことにしたらしい。
ではあるが、クォクォという声を聞いていると、こちらがつらくなってくる。
(2013年8月19日)