東日本大震災から3年たって、やっと新歌集を編もうかという心境になってきた。
前歌集『強霜(こはじも)』は2011年9月の刊行。編集をほぼ終わったときに大震災に見舞われた。その日をきっかけにいつになく多作になったから、編集を変更して震災詠を入れることは可能だった。
が、〈震災歌集〉として売り出す気持には全くなれなかった。2万の犠牲者と大量の被災者を身近にしながら1冊にするのは、ひどく不遜なことだと。
3年の歳月は、やっとその重ったるさを軽くしてくれた。
というわけで、2011年、12年の2年間に限定して450首ほどを編集し、やっと終わったところだ。
この作業をしながら、何度も自問したのは「震災詠とは何か」だった。現実に直面した生々しさは、確かに迫力がある。しかしことばの迫力は、それをも超えたところから生まれる。自分は、どこまで応えているか、まだわからない。
(2013年7月20日)