下着問題には、思いのほかに長く深い性差の歴史がある。女性が男性の下着を盗んで捕まった事件は聞いたことがない。捕まるのは専ら男性だ。
男性は下着によって女性の性を連想する。しかも禁忌が介在するから連想は連想を呼び、ついにはフェティシズムへ行き着く。
もしその気になれば、使い捨て下着などはネットでいくらでも手に入るのだから、わざわざ窃盗することはない。が、禁忌がなくなると興味は減退する。
他方、下着に関する女性側の意識には違いがある。単なる実用品としてではなくほとんど美術品といっていいまでの美を備えてきたのは、必ずしも男性目線を意識するからではない。これは服飾、化粧にもいえる。
ところが両者の間に出るズレに男性も女性も案外鈍感なのである。そこに両者のミスマッチが生じる。
ではどうするか。まずズレがあるということを客観視することからはじめるしかない。
(2013年7月12日)