【往還集127】3 方言

「心の花」5月号に、駒田晶子が

「ふぐすまのことばを語るトウキョウの役者やっぱりなぬかちがうすぺ」

を発表している。
駒田さんは福島出身、いまは仙台に住んでいるが、福島弁はもちろん身内のようなもの。この歌は「八重の桜」をみての感想かもしれない。登場する男優も女優も福島弁、とりわけ会津弁を使う。しかし地元の住人からすると、奇妙な「弁」になっている。
宮藤官九郎作の朝ドラ「あまちゃん」は、久しぶりに面白くて、私も毎日2回は見ているが、やっぱり変な岩手弁、久慈弁が続出する。
残念ながら、これは防ぎようがない。役者は一生懸命になって覚え、字面を追って「なぬかちがうすぺ」と発音する。だが「なぬがつがうすぺ」でないと、本物ではない。
もっとも全国放送の場合、本物の方言では通じない。そこで「方言+標準語」という珍奇な方言を編み出して、セリフ化しているというわけなのだ。
(2013年5月13日)