【往還集126】28 ふたたびの土

今朝は霜が降りて屋根がまっ白。もう4月半ばだというのに。桜もまだ蕾が固い。
それでも周辺の山の色は、急速に変りはじめた。茶褐色に薄紫色が兆し、さらにほんのりと黄緑色を加えていく。
こうなればもう春耕のはじまりだ。農具を車に乗せて、畑へ。畑の傍らに植えた2本の白梅が満開。柿の枝が伸び放題なので、剪定する。冬越しのナノハナの柔らかい茎を、たっぷりと摘む。それから長い間眠っていた土を、掘り起こしていく。ときどき冬眠中の蛙もいるから、注意しつつ。
きょうはまずこれだけの作業だが、土に触れる感触が手から全身へと伝わって、久しぶりの爽快さ。
父親の実家は岩手県水沢の農家。祖母は高齢になり、足腰が立たなくなったというのに、畑に出ることをやめなかった。土に向かうのが、一番の自己開放の時だった。
その東北農民の血が、この季節になると自分にも蠢き出すというわけだ。
(2013年4月13日)