【往還集126】24 「鬼房俳句とみちのく」

鬼房顕彰全国俳句大会のシンポジウム。パネラーは田中亜美、神野紗希、矢本大雪、宇井十間、関根かな、司会大場鬼奴多各氏。どの人も生の鬼房を知らないという。作品だけで鬼房をイメージしてきたことになる。だから従来の代表作とは別の句が、「パネリストの選んだ3句」には次々と出てくる。
田中選「虹消えて暗い尾鰭が疾走する」、神野選「青年へ愛なき冬木日曇る」、関根選「やませ来るいたちのやうにしなやかに」などなど。
これはいいことだ、下手に生の鬼房を知るものよりも、新しい面が発見できる。作り手は誰でもいつかは消え、作品だけが残る。後続のものは作品だけを読む。そのときどういう世界が触覚されるか、これが勝負だ。
ところで自分も発言を求められて、生の鬼房に触れた体験をもとに、彼の内に住みついているアテルイの精神を少し語った。
あっ、俺、いつの間にか旧い人になっていると思った。
(2013年3月24日)