【往還集126】23 塩竈

今日は塩竈で第6回佐藤鬼房顕彰全国俳句大会。シンポジウム「鬼房とみちのく」を聞きたくて、本塩竈に降りる。
あの日、ここも例外なく津波に襲われた。それでも比較的被害が軽度だったのは、湾に点在する島々のおかげだ。とはいえ、湾沿いの「シオーモの小径」に並ぶ文学碑はすっかり倒されてしまった。賢治は塩竈を「シオーモ」と命名した。その名に由来する。被災店舗は仮設の復興市場となって、肩を寄せ合っている。賑わいを取り戻すのは、まだまだ先だ。
しばらく湾沿いを歩き、また戻って何度か来ている寿司屋の「すし哲」に入る。ここは外人さんもよく来る老舗だ。浸水してしばらくは閉店したが、5カ月後に再開にこぎつけたという。
昼時の客が次々に来て、「特上!」と注文する。自分もつられて「特上!」と注文する。舌にのせればとろけるような触感。犠牲者への供養の思いもこめて、一皿いただいた。
(2013年3月24日)