画展や書展にはよく行く。そのたびに感に堪えないのは、線。名人になるとたった一本の線なのに、実に実にと、「実に」を重ねたくなるほどに生きているのだ。
セーターにもこういう線を編み込めないだろうかーー。そう思い立ったのがいけなかった。ど素人だというのに、墨と筆を出して何回も何回も線だけを書きはじめた。
どうも気に入らない、もう一度と、100回を越えたころ、少しはましな線にたどり着いた。
それをセーターの設計図に移し入れた。まず黒を地に置いて、赤系の線を編みこむ。けっこう、うまくいった、けれど線が、どうも生きていない。
で、もう一度挑戦。今度は臙脂色を地にして白とピンク系の線を入れて。
秋にとりかかり、冬を越えようとする今日、やっと完成。水墨の線のようにはいかないが、編みこみの味が多少は出ているかも。
「ふたたび」と命名。「いつか、再び会える」の思いをこめて。
(2013年2月26日)