【往還集126】20 朝読書

定年退職してからもう10年になるが、朝読書が今でも習慣となってる。
高校の活動でとかく見栄えのいいのは第一に進学率、第二にスポーツ。文化関係はとかく軽視される。
そういうなかで図書部長になったT先生は、全校の朝読書を提案した。いつもは穏やかな人柄だが、芯の強さも秘めていた。
職員会議に議題として出されたとき、勉強嫌いの子がいっぱいだというのにできるわけがない、こんなことは中学でやることだという空気が強かった。
それに負けず、資料を用意して何度も提案。とうとう実現にこぎつけた。始業前の10分間を読書に当てる、心静かになったところで授業に入るというだけのこと。
しかし継続はかなり難しい。
私は副担任だったが、朝読書は自分に担当させてほしいと担任に頼み、毎朝教室へ通った。
学校を去ってからも、一人で朝読書を続けている。現在、トルストイ『戦争と平和』第2巻。
(2013年2月26日)