【往還集126】19 大雪

ベランダ゛の雪が重みで蛇のようになった。
秋保温泉の磊磊峡には連日の寒波で、無数のつららが垂れた。

東京は絶好の晴天。用事があって大井町のホテルに泊まり、翌朝食事に降りて行ったら、 スポーツスタイルの若者たちが列をなしている。東京マラソンの日とは知らなかった。
ところがである、午後の新幹線に乗って郡山を通過するとき、吹雪となった。仙台はさらに大雪。仙山線に乗り換えたら、愛子駅でストップ。自分の降車駅はここだからまずは安心。ところが今度はバスもタクシーもない。一時間歩いて帰るほかない。が、重い荷物はどうする?やっと雪まみれのタクシーが来てくれて、助かった。
それにしてもこの大雪はどうしたことだ。青森の酸ヶ湯温泉では5m50㎝を越え、記録を塗り替えた。
私は岩手に生まれ育った。当時は多雪期で、雪は存分に降った。はじめは風景に見惚れるが、やがてはこのまま生き埋めになるのではないかと恐怖心が湧く。
天使から悪鬼へ一瞬にして変身する、それが雪だと思ってきた。
(2013年2月25日)