【往還集126】11 雪嶺

1月半ばからゆとりをなくし、「往還集」も休みがちになった。NHKハートネット「震災を詠む」のシンポジウムが2月11日に行われる。その応募作品が予想外の多さで、20首選出するのに四苦八苦。続いて短歌総合誌4冊を全て読み込んで「短歌月評」第3回目を書く。さらに続いて「路上」125号の編集。
この間に春先恒例の風邪と微熱にやられ、耳鳴りまで加わってしまう。さらにさらに、連日の大雪。除雪していて腰までやられてしまった。
やっとあれこれから抜け出して、蕃山の麓にあるタンク山へ登ってきた。久しぶりの晴天。頂上に立つと、蔵王連峰―泉ヶ岳―七ツ森がパノラマとなって広がる。連峰はなお雪深く、純白そのもの。山肌に切り込む襞はコバルト色を帯びて、まるで版画の趣だ。春にはまだまだ遠い。けれど天空いっぱいの光には、どことなく春の予兆がある。
ここまでくれば、もう後退はない。
(2013年2月1日)