【往還集125】29 もう怖いものはない

またまた糞尿の話。
私は現職のとき、保健部の仕事を多くした。トイレ掃除は業者に委託する趨勢になっていたが、最後に勤めた学校は珍しいことに生徒の当番がやった。はじめはけっこうきちんとやるので感心。
が、時代と共に手抜きの風潮が出てきて、たちまち荒れ出した。数日放っておくと、まるでゴミ捨て場のような状態になる、男子トイレも女子トイレも。
自分は全校集会などで全員が体育館に集合している折に、全校のトイレ掃除をはじめた。ゴム手、前掛け、長靴、マスクを用意して。もちろん女子トイレも分け隔てなく。それ以前からゴミやたばこ拾いを日常的にやっていたから、延長上のこととして。
汚れきった便器を洗浄すると輝くばかりの白さになる。便器は「ありがとう」と礼をしてくれた。
「学校でなにがあっても、もう怖いものはない」と肝が据わったのは、トイレ掃除をするようになってからだ。
(2012年12月13日)