「歌壇」の連載評論山田富士郎「評伝 會津八一」、川野里子「空間の短歌史」は毎回読みごたえがある。完結が待たれる。
その他の評論で、「これはいいところを突いている」と思ったのを拾遺してみる。
「新たな想像はゼロからは生まれない。創造には学びが必要である。」(盛田亭子「小沢蘆庵における伝統と革新」「歌壇」12月号)
「自分自身の心はみずからも知り得ていない深く豊かな混沌の沼であり、容易には表現できないものであろう。」(伊藤一彦「「難しさ」が楽しい」『短歌』12月号)
「家族は、家族としてのみ、この世にいるわけではない。たまたま縁のあった他者である。そこから時代や社会を覗ける窓でもある。」(花山多佳子「存在のオーラを」同)
「どんなにささやかな素材でも、天啓にも似た唐突さで人生や〈私〉について教えてくれる。」(島田幸典「一首の背後にあるもの」同)
(2012年12月 1日)