

今年の紅葉は10日近くはおくれた。それでも気温が下がりはじめると、周辺の広葉樹は変化しはじめ、パッチワークのような文様が広がった。
秋保の天守閣公園へ。渓谷と足湯と炎上するばかりの紅葉。
月山池へ。湖を囲む赤銅色の山々、はるかには蔵王連峰の銀嶺。
そして昨日は花巻へ。市民講座「はなまき賢治セミナー」で「鹿踊りのはじまり」と「水仙月の四日」を話すことになっている。早めに行って南斜花壇へ。花の大方は終っているものの周辺の林は赤、黄、茶の広葉樹で埋め尽くされている。その下に坐って見上げると、わずかの風にも葉洩れがこぼれ落ちてくる。さらに風が加わると何枚もの葉が、まるで空気と睦み合うかのように降下をはじめる。
これだけのこと。毎年くり返されるこれだけのことなのに、どうしてこうも息を呑むばかりに美しいのだろう。
歌を作ろうとしてもできはしない。
(2012年11月18日)