今朝の新聞で吉本和子さんの訃報を知る。85歳。和子さんは故吉本隆明の奥さん。かねてより病臥が多いと聞いていたが、吉本氏が去年3月に亡くなり、後を追うように逝ってしまった。
自分は和子さんの句が好きだった。俳人として表面に出ることはまれで、句集も2冊だけ。しかし大きな句柄にはいつも引きつけられた。「路上」にも88号と107号の2回作品をお願いした。いつか「どうも歳とともに感性が鈍磨してーー」と近年のわが身を嘆いたら、「佐藤さんがそんなこといわれるなら、私なんてどうしましょう」と返信されてしまった。
もっと作品も読みたかったし、妻から見た夫についても聞きたかった。
「路上」88号「去年の鵯」から抄出しつつご冥福を祈りたい。
「コスモスの背き合いつつみなやさし」
「桃買いに黄泉の比良坂下りいる」
「遠景が近く寄り来る秋に病む」
「かりん青く梢に高く帰路遠く」
(2012年10月10日)