【往還集125】 7 遊就館にて

昨日は『俳句』創刊60周年記念シンポジウム。飯田橋近くの角川本社ビルが会場。時間が早めだったので、歩いても10分の靖国神社を見学した。
靖国といえばとかくざわつきの多いところだが、資料館は思想の左右に関わらず一見に値する文物がいっぱいある。
入館してすぐの展示品は、戦闘機だ。「零式(れいしき)艦上戦闘機五二型」が正式名。濃緑の機体に深紅の日の丸。これをまえにして、特攻に散った若者の心意気に感じ入るか、こんなちゃちなものであったら命を散らしたとみるかは、それぞれに委ねられる。私はどうしても後者の見方になってしまう。
ちょうど「大東亜戦争開戦七十年展」が開かれているので、そこにも入場してみた。すると大将級の軍人の戦績や人柄が紹介され、祖国愛、国家愛が語られる。だが名もなき兵士らは除外されている。
このことが私には不可思議だ。無数の兵士たちはどこへ行ったのだろう。
(2012年10月8日)