【往還集125】3 あまんきみこ「手紙雑感」

あまんきみこは童話作家。子どもたちからも時々手紙をもらう(「日本近代文學館」2012年9月15日号)。
「ちいちゃんがかげおくりをしたこうえんは、どこかおしえてください。まっています。」こういうのは、かわいらしい。
この8月はじめ、分厚い手紙がきた。夏休みにあまんさんのことをしらべたいので、こたえをくわしく書いてできるだけ早くおくってくださいーー。「なぜどうわを書いていますか」「じぶんの本ですきなものを五冊あげて、りゆうを書いてください」その他、まるで尋問のような文面。
どうも子どもの発想ではない。あまんさん、困りはてたが捨ておくこともできない。
「作品は、もうあなたのものですよ。あなたが読んで思うこと、感じること、考えることが、この質問のように深め、ひろげられたら、とてもうれしい。それがこたえですよ」。 これは名返信。子どもと親はどんな顔をしただろうか。 

(2012年9月18日)