大川の帰り、道の駅「じょうぼん上品のさと郷」に立ち寄る。
涼風にあたりながら昼食をとっていると、オルガンが流れてきた。その音のほうへ近づくと、店の入り口に足踏みオルガンと手回しオルガンをおいて、ひとりの男性が演奏している。
「心の病気があり、路上の演奏生活をしております。最愛の母の介護をおえた今、もう少しだけ、奏でたい┄」
という説明書きが。
私はゆったりした音色に、しばし耳を傾ける。たまたま通りかかったひとに聞いてもらうだけの演奏。そのことに、えもいわれぬゆかしさを覚える。
自分だって、作品を大げさに刊行したりせず、手造りにして、たまたま出会ったひとに、そっとわたしたい。
これまでも小歌集『高校時代』『夜の泉より』『草案』をほんの少部数出したが、最近は繁忙にまぎれて途絶えてしまった。
もういちど手作り歌集をやってみたい。そんな気持ちが久しぶりに爽やかにわきあがってきた。 (2012年7月18日)