家から車で二時間弱。久しぶりの大川小学校へ。
北上河畔に散乱していた家屋も船もほとんど撤去され、田んぼは雑草で埋め尽くされている。
小学校周辺の瓦礫の山もかなり消え、立派な慰霊碑と「子もり」の石像も建てられた。いっぱいの花と折鶴。
私も膝を折って、いつまでもいつまでも額づく。
すると山形ナンバーのマイクロバスから十数人の僧が降り、読経をはじめる。それからさらに数台のマイクロバスが到着、団体さんがつぎつぎと降りる。大川小学校はいつしか、東日本大震災慰霊のメッカになっていた。
ちょうど遺族の方らしい男性ふたりが、清掃具をもってやってきた。ふたりは読経や礼拝の終わるのをかたわらで待っていたが、それとはしらぬ団体さんは碑のまえに整列し、ポーズをとりはじめた。
「また写真か」
男性のひとりは小さな声で舌打ちした。それでも撮影の終わるまで待ち、静かに清掃をはじめた。 (2012年7月18日)