【往還集124】20 頑固さと脆弱さ

「短歌研究」には「うたう☆クラブ」という欄がある。ネットで5首応募、それからコーチがえらんで双方やりとりし、作品をしあげていく。すべて横書き。結社とは全く異種の、こういう場から生まれてくるのはなにかーーに私は興味をもってきた。
10年を迎えた今月号でコーチの穂村弘、加藤治郎、小島ゆかり、栗木京子が座談している。
なぜコーチ制をとるのか。「添削はやはり文語とセット」「口語でつくる人の多くは、自分の生な感情を自己表現として歌っているという認識でみんな作るから、それを直されると「でも、自分はこう感じてないし」みたいに思ってしまう。」これは穂村の指摘。
なるほど、添削でなくコーチでなければならないわけだ。
ここには短歌領域を超えた問題があると、私は直感した。自分の感じていないことには承服しない、できないという感覚。頑固さと脆弱さを表裏にしたこの新しい感覚。
(2012年6月27日)