去年実施を見送った、仙台の青葉祭。5月19、20日両日とも五月晴れに恵まれる。青葉と光と風の感触に誘われて、街へくり出し、半日過してきた。
この祭、いまでこそ人波に埋もれるほどのにぎわいだが、私が仙台商業高校に勤務した1976年ごろは、それほど注目されていなかった。少しでも見られるものにしようと、生徒達を行列に参加させたほどだ。
ところが笛と太鼓もにぎわしい雀踊りのグループが続々と誕生し、いまやひっきりなしに行進するほどになった。踊りのレベルも格段の洗練ぶり。しかも、見物客のすぐ近くで踊るから、両者一体となる。ついには、天地くつがえらんばかりの熱気になる。
祭は、たしかに日頃の憂さを吹っ飛ばしてくれる。三陸の被災地では人を喪い道具も流されたというのに、伝統の祭を挙行したところが多い。その思いが痛いほどわかる。青葉と光と風、そして人間の今日。
(2012年5月20日)