【往還集123】31 時間の遠近法

いりの舎発行の月刊短歌総合紙「うた新聞」創刊号が、今日届いた。そのなかに「歌壇時評」があり、本田一弘氏が担当している。本田氏は会津在住。
さっそく読んで、やっぱりそうだったかと、つぶやく。「もう一年なのか、それともまだ一年なのか。震災後、一年という時間が経過したのだが、時間の進み具合が早いのか遅いのか、正直わからない。」と書いている。
「今、途方もなくやりきれない不思議な時間の感覚にとらわれている。」ともいう。
私は4月1日に「震災詠を考える~被災圏からの発信」を開催した。最初は6月にやろうとして、施設壊滅のために果たせなかったのだが、4月時点ではもう震災詠は終ったという感覚になっていた。
ところがいざやってみたら、過去となっていたことが昨日のように噴出した。昨日と今日の遠近法が、どうにもうまくとれなくなっている。
この感覚は、自分だけのものではなかった。
(2012年4月10日)