朝のテレビニュースで吉本隆明氏の死去を知る。午前2時、肺炎、87歳。
宮沢賢治賞を受けていただいたのは2009年のこと。私も賞選考委員をしていて選考の場にいた。吉本級になると賞などいらないだろうから、断られるのではないかと案じた。ところが率直に受けてくれ、表彰式当日も花巻会場まで来てくれた。玄関に出迎えると、視力を失いしかも車椅子。お嬢さんの多子(さわこ)さんの付き添い。
「吉本さん、老いたり!」戦闘的姿を見てきたものには寂しさ限りなし。
が、講演に入るや、あふれんばかりの内容。帰りの時間が迫っているので、こちらでストップせざるをえなかった。
私は学生時代に「エリアンの手記と詩」に出会い、「試行」の読者になり、以来ほとんどを読んできた。「路上」へ激励のハガキをもらったこともある。さすがに『「反核」異論』だけは承服できなかったが。
これで、また一時代が終わる。
(2012年3月16日)