「生態圏を侵しながら生態圏を再生させる道」と書いとき、自分の頭にあったのは中沢新一『日本の大転換』(集英社文庫)の一節。つまり半分パクリだと、正直に告白しておく。
生態圏をただ収奪するのではなく、生態圏を甦らせることによって、人類ははじめて、地球上でほかの生き物を益する生き物となるであろう。
とある。
ついでにこの本が、衝撃的だったことも告白しておく。中沢氏は、今回の原発問題を境にして、日本文明が根底から転換をとげていかなければならないと語り出 す。原発は、生態圏の外部に属する物質現象からエネルギーを取り出す技術であり、人類に与えられた知性をもってしては根本の構造を変えることは不可能だと いう。
そういえば原発事故が起きたとき、有効な手を打つことができず、試行の連続だった。想定外だと弁明するが、じつは想定自体が不可能だったと、いまにしてわかった。
(10月8日)