【往還集122】2「宮沢賢治講座のこと」

 仙台文学館ゼミナールで「宮沢賢治を読む」を担当するようになって、5年目。今年は「注文の多い料理店」と「水仙月の四日」をとりあげた。講師よりも受講 生のほうが熱心で、しかも知識も豊富だから楽ではない。今年は東京から毎回通う人もいて、恐縮してしまった。個人情報にひっかかるので名前は出せないが、 仮に「ひらり」の作者としておく。その人など皆勤で、しかもいつも一番前の席を陣取る。好奇心というか、向学心というか、じつに見上げたもの。こちらが すっかり刺激を受けた。 今年の講座、はじめは5〜6月にやる予定だった。しかし震災の影響で9〜10月に延期。ふたをあけてみたら、常連の海辺の町の何人かがいない。集まった人 のほとんども、なんらかの形で被害をうけている。で、どこか特別の雰囲気の、忘れがたい講座となった。きのう、「水仙月の四日」でしめくくり、本年度を終 了した。
(10月7日)