小島は、高校生のときに角川短歌賞を得た。このあまりにも早いデビューは、痛々しかった。自分をどのように定位していいかわからないのに、外圧が押し寄せ て来る。その葛藤のなかでしか、成長できない。成功の確率と失敗の確率、半々。小島はその困難を、辛うじて潜り抜けてきた、そして誤魔化しようのない〈自 分〉を確かめてきたと思う。
一日の終わりに首を傾けて麒麟は夏の重力降ろす
電柱が麒麟となりてわが町を闊歩するさま美しからん
たまたま麒麟の二首がある。重力をもっているのは、小島自身だ。この重ったるさからのがれたいと思いながらも、できない。その分、浮薄に流れることもない。しかし時には重力から逃れたい。その願望が二首目に形象化されている。
(8月30日)