〈吾輩は松である。いやはや、たった一本残ったために、世の憂きごとをたんまりと見なければならぬ。例の京都「五山送り火」に、ケガレがありそうだから と拒まれ、一転してヨシといわれ、新たな松が検査の結果ケガレの判定で、またダメ。やっと成田山新勝寺が引き受けてくれることになった。まずはっきりさせ たいのは、われわれ松には一切関わりがないということ。勝手にケガレを飛ばしておいて、ケガレたからダメというのでは立つ瀬がない。おかげで三陸のあれも これもあやしくなってしまった。格式高い京都のことだから、三陸の中学生・高校生が修学旅行に行く季節になったら、まず検査せよ、少しでもセシウムが検出 されたら立ち入り禁止というのではないか。それもまたよかろう。ほめられず、苦にされっぱなしで、いつも静かに笑っている。それ以外どのようにできよう か。これがトーホクというもの。〉
(8月15日)