【往還集121】23「鎮魂の松23「鎮魂の松」

 高田松原の被災松を、京都の五山送り火の大文字で燃やそうという計画が中止になった。その理由がふるっている、放射能が心配、琵琶湖が汚染される—-。 思わず、笑ってしまう。中止が報道されると、多数の批判が寄せられ、一転して16日の送り火で燃やすことが決まった。このドタバタ劇。被災地と直接関係し ない人間が、いかに風評に弱いかを、またまた見せつけてくれた。一連の経緯のなかで、私が感じたことの第一。圏内のものとして不愉快なことではあるが、こ の程度でまいっていては被災から立ち直れない。第二、送り火にすることを発想した人のアイディアが色あせることはない。こういうアイディアを寄ってたかっ てつぶす傾向は、今昔を問わずにある。第三は、とかく人は風評に弱い。京都のことは笑ってすませられる。許しがたいのは仙台圏の学校が、次々と会津旅行を 中止したこと。なんと愚かな!
(8月10日)