今年も仙台七夕は、はじまる。地元にいるものとしては、大群衆に巻き込まれるのを避け、早めに行きたい。とはいえ、10時前に一番町に着いたのに、すで に人の波、波、波。例年にない盛り上がりようは、やはり大震災と関係がある。暗い記憶をこの勢いで跳ね飛ばしたい、それが死者への哀悼にもつながる。この 論理、うまくつながるかどうかはわからないが、そういう気分の人出だ。今年の特徴は、国内外から寄せられた無数のツルや短冊。「がんばって」「まけない で」の幼い字や異国語もある。一つ一つを読むなんて、とてもできない。けれど、万単位の心が集結していると思うと、単なる装飾を越えた力として感じられて くる。それにしても、どこから湧き出たともしれぬこの人出。流れに乗り、顔にかかる吹き流しをかきわけていくほかはない。そのときの、本物の和紙の感触は 極上。触感こそが、七夕の醍醐味です。
(8月6日)